【京セラ】インクジェットに特化した公的研究機関iPrint研究所と協業開始

京セラ㈱の欧州事業の中核子会社であるKYOCERA Europe GmbH(以下 KEG)は10月から、独自のインクジェット技術を生かし、3D印刷、塗装、プリンテッド・エレクトロニクスなど新規用途展開を目的として、スイスに拠点を置くインクジェット技術に特化した公的研究機関iPrint研究所(以下 iPrint)と協業を開始した。
インクジェット方式を含むデジタル印刷は、画像データに基づき必要な数量を即座に印刷できる手軽さや、版が不要なため、版洗浄の廃液が発生せず、環境負荷が低減されるという利点がある。近年では、ニーズの多様化や少ロット多品種生産の需要増加、生産現場の省人化・自動化の推進などを背景に、従来のアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが加速している。
京セラ㈱は、長年培ったファインセラミックスの独自技術や流路設計、製造技術を生かしたインクジェットプリントヘッド「EXシリーズ」を中核に、捺染や商業印刷などの分野でトップシェアを誇り、デジタル印刷市場を牽引している。今後は、3D印刷、塗装、プリンテッド・エレクトロニクスなど新たな用途への展開に向け、技術拠点の整備を国内外で進めている。
iPrintは、西スイス応用科学芸術大学(HES-SO)のHEIA Fribourg校に所属するインクジェットに特化した公的研究機関であり、世界各地から技術者や企業が集い、多様なニーズに応える研究・開発活動を推進。インクジェット技術に関する最先端の研究開発活動やトレーニングコースを提供しており、さまざまなインクを取り扱うことができる環境も整備されている。
今回の協業では、iPrint内にKEGが専用スペースを設け、最新設備や技術を活用することにより、従来取り扱いが困難であった特殊なインクや材料などの評価を行う。また、評価により得られたデータを蓄積、解析することで、技術サポートの高度化・効率化を図り、新規用途への展開に向けた積極的な活動を進めていく。