【レポート】SEASiON~廃材が活きるカフェ~

 2021 年5 月、香川県高松市から北東沖約20 ㎞ に位置する小豆島に「SEASiON」がオープン。1 階はカフェレストラン、2 階はアートギャラリー・イベントスペースになっている複合型施設だ。
 
 小豆島は、加工産業や海運が盛んで、最近ではワーケーションにも利用されている中、同施設は、事業者同士やアーティストなどのつながりを創出し新たなビジネスを生み出す、実験場のような場所になることを目指しつくられた。
 施設のオーナーで設計も手掛けた塚島健氏は「小豆島は学生時代からよく訪れていた。いつかここで何かしたいと考えていた折、コロナ禍の状況とこれからの社会潮流の想像をきっかけに、これから何かを始める人たちにとっての受け皿となるような場が必要だと思い、今回のプロジェクトを立ち上げた」と話す。

 SEASiON は素麺工場だった建物をリノベーション。店名をはじめ各種案内サインは、素麺工場に残されていたものを再利用している。割れてサビだらけになったドラム缶や鉄板、廃材などに下地処理を施し、ピクトや文字を描いた。

 

 サインのデザインや設置場所を決めたのは㈱八島デザイン事務所の八島紀明氏と山口俊氏。「今回は、フランスの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロース氏の、今あるもので作るという思想“ ブリコラージュ” が原点。その時その場所にあるもので作る。最終的に何ができるかわからないという手法に挑戦した」(八島氏)。
 また、使用している書体やピクトはIGAS DESIGN OFFICE ㈱の佐々暖子氏が制作。全てオリジナルで、書体はピクトの雰囲気に馴染みかつ手描きのしやすさを念頭にデザインされた。

 

 サインの製作・施工は㈱アール工房に協力を仰いだ。同社の松本弘志氏と星正也氏が現地に赴き、外壁の塗装や施設名サインを手掛けた。
 星氏は「作るではなく利用する。至る所にSDGs の要素があり、これからのサインのあり方を考える上で、貴重な経験になった」と話す。松本氏は「サイン製作は人を案内する仕事。多くの人にSEASiON を見てもらって、どんどん認知されていってほしい」と述べた。


その他のサインや製作風景は、POPEYE.No.258に掲載。
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