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■ ビジュアルデザインコンペ・審査員講評
井原理安氏花田祐二郎氏吉岡貴久氏山田恭弘氏


井原理安氏((有)井原理安デザイン事務所 代表取締役)

私は、屋内部門の「BYOBU Wall」は、高く評価した。これは日本の古来の屏風をテーマにデザインしている。屏風というのはもてなしの精神の現れで、そのために古来のデザインである「俵屋宗雪」の絵を使うというのは面白いと感じた。なおかつ、狭い空間で、立体的に見せるという手法も優れている。
次に「KISTIC―情報の帯―」は、プレゼンテーションを聞いて驚いた。私は、産・学・公の研究部門の研究者たちが、いろんな情報あるいは出会いの場であるということをボードから読み取ったが、実は今日、プレゼンでこれが京都であると知った。京都とは何かというと「反物」で、それをパッと並べたらあの姿、すなわち「巻物」となる。それがIJPのロール紙をイメージして作られている。
また、情報は必ず目線が重要だ。サインはバラバラになっていると環境破壊になり、見難い状態になる。だから一定のレベルの中にメッセージボードがあったり、掲示板があったりすることで非常に心地よい、次に優秀賞の「Art of Letters」は、実は私は、秋葉原で何度も見ている。これは非常に狭い空間にフォントを使ってレイアウトしている。こういった空間に仕掛けをしたり、グラフィックによって少し空間を和らげたりすることは、非常に面白い。
次に屋外部門の「ピラミッドスズシェード」だが、実は審査するとき、よく分からなかった。ビジュアルなコンテストだから、パッと見たときはどこが良いデザインなのかなと思った。ただ、これが技術開発賞だったらすごい。それも含め、将来的にデザインによっていろいろな方面で活用できる可能性があるという期待感も込めての入賞となった。
「世界最大級の3D階段広告」は、最初にパッと見たらものすごく驚く。でも見慣れてしまうとそうでもないと思う。日本人は巨大なものなどを好む傾向があるが、小さいもの、薄いもの、軽いものを作ったりするのも日本の技術であり、必ずしもデザイン的にいいものとは限らない。ただ、3Dでこれを作ったことについては私も評価する。私も水族館で3Dをやったことがあるが、驚きや「わくわくさせる」ことでは大変良いと思う。
屋外部門優秀賞の「13分を考えるバスストップ」は、すばらしいデザイン。最初は「13分をバス停で待っている」というテーマだと思っていたが、実はそうではなく、13分で1種の生物が無くなるということを示している。それは社会状況であり、これをバス停広告に持って来たことを評価したい。
最近のバス停広告は外国人女性の写真を大きく表現したりとか、企業メッセージだけとかが多いなか、世界的に目を向けたメッセージを出していくのは、私たちの役割でもある。必ずしも経営手段だけでなく、社会に還元することが、ひいては自分たちにも還元されてくると考えなくてはいけないのではないかと思う。
最後に、IJPをツールとして製作している皆さんは厳しい環境の中にあって、苦労されていると思う。デザイン力で、もっと利益を得ていくようにしないと業界が悪くなって、振り向いてみたら、年寄りばかりになってしまっては困る。若い人たちがもっと入ってくるように業界を盛り上げていってもらいたいというのが、この業界に入ってからの思いだ。
デザイン力を駆使しながら、いかに業界全体で同じ土俵で仕事をして、お互いに幸せになっていくことが、大事だと私は思う。
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花田祐二郎氏(ネクストデザインアソシエイツ 代表)

応募作品は、いずれも力作ばかりだった。私は店舗の設計デザインをやっているの、特にグラフィカルなプランが好きということもあり、少しくらいの作品なら驚かない自信があったが、今回の作品を見てかなり驚いた。
一般の雑誌などで作品を見る機会はあるが、雑誌に載っていないような細かな提案をしたものが多数あり、皆さん、ボードのプレゼンテーションが上手いのにも驚いた。
今回、私はちょっと斜めの角度から作品を審査した。一つは時代性を考えている作品であるかどうか。例えば、エコがひとつのブームになっているが、そういったものをIJPを通じて上手く提案し、クライアントに目で見える収益性が感じさせられるかどうかという観点だ。
もちろん、サインの役割は子どもでも大学生でも分かりやすく見やすいものであり、特にお年寄りの方に分かりやすいのは当たり前で、こういうところも観点として審査した。
もう一つは、IJPを使った新しい媒体、新しいコミュニケーションツールとしての提案がないかとの観点でも審査した。実は、そうした点が見られる作品がかなりあり、これが今回の優秀賞、佳作の中にも数点入っている。
最近、理論的に説明がつくような仕事が求められていると思う。そういった意味で、時代性や目で見える収益性などを考えていく時代に入っていると思っている。
今回は、期せずして優秀作品が屋外屋内とも、ビジュアルのプランとなっているが、佳作に入っているように、ビジュアル的なものだけではなく、新しい切り口を持って提案できる、そういう作品を是非期待したい。
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吉岡貴久氏((株)エキスプレス社 取締役第1事業本部長)

第1回目に関わらず、多数の作品を応募いただいたことにまず、感謝申し上げたい。
応募作品は、「話題性・環境性・経済性・地域性」など、多くの作品に工夫と配慮が見受けられ、今後、IJP分野が、躍進していくことは想像に難くありません。
屋外部門優秀賞は、我々人類が産業革命以降、化石燃料を使用し、経済活動を肥大化させてきた結果、温暖化をはじめとする環境悪化により、多くの生命の危機を生んでいる。作品は、バスストップの場所でこの地球号全ての生命の未来のため、「環境破壊ストップ」のメッセージを発信、環境問題を提起する上で、タイムリーだった。
同じく佳作の「世界最大級の3D階段広告」は、数十段ある階段を媒体に、圧倒的迫力の立体イメージを再現、野球観戦の前の感動を来訪者に引き付けるのもIJPのなせる業だ。「ピラミッドスズシェード」は消費電力低減が社会使命のいま、本作品は素材が屋根の表面温度を下げ、かつGPSになる新しい広告手法だ。
屋内部門の各入賞作品は、どれも群を抜く企画力やデザイン手法により、その再現性を高く評価した。中でも優秀賞作品は、「配色とフォント」の妙味が面白く、デザインも洗練されていて、“泊まりに行きたい”と思わせる仕上げだった。
佳作の「KISTIC―情報の帯―」は、落ち着きと機能性を兼ね備えたモノトーンで構成された空間で、研究者が「禅」の悟りで活動できそうな雰囲気を醸し出している。「BYOBU Wall」は、平面な襖であるにもかかわらず、目の錯覚によりトリックアートのように屏風仕立てで、空間を広く見せる工夫がされ、アイデアが大変面白かった。
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山田恭弘氏((株)ミマキエンジニアリング 営業本部 AP事業部長)

今回の審査はIJPメーカーの立場からIJP関連技術(プリンタ、メディア、ソフトウェア)の特長をいかに活用しているか?という視点で行った。
屋外部門優秀賞の「13分を考えるバスストップ」は、デザインも優れているが、昼と夜で変化するアイデア、特に夜は核心を突くキャッチコピーと広告が、応募作品の中で最も優れていた。
佳作2作品のうち、「世界最大級の3D階段広告」はデジタル処理技術、階段に貼り、人が踏んでも滑らないメディア、IJPによるオンデマンド出力とIJP技術関連の特長を活かしている。もう一つの「屋外断熱エコテント」は、エコという時代の流れを捉えた作品だ。
3点ともに共通している点は、「バス停」「階段」「屋根」というサインの媒体として活用できる媒体はまだまだあると気付かせてくれること。このことを知っていただき、サイン業界の皆様にはさらに屋外広告を活性化していただければ、と思っている。
屋内部門の優秀賞「Art Of Letters」は、このようなデザインのホテルなら自分も宿泊したいという消費者視点で選ばせていただいた。佳作2点のうち、「KISTIC―情報の帯―」はIJPが無製版のため、グラデーションの長尺出力というIJPの特長を活かした作品。「BYOBU Wall」は平面を立体的に見せるデザイン、IJPを使用した色の表現が優れていた。
今回の応募作品の中にはレンチキュラー、チェンジングなどのデジタル処理を活かしたサイン、IJP、カッティングマシンを活かしたウィンドウサイン、防炎シートを活用した壁面サインなど、IJP関連技術を活かした作品が多数あった。改めてIJPがサイン業界の中に浸透している、なくてはならない存在になっている事を認識した。
今後もIJPメーカーとしてサイン業界に役立つ活動を続けていきたい。
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